『黒蜥蜴』は、実は桜木みなとトップ時代を象徴する作品かもしれない
現在の宙組大劇場公演『黒蜥蜴』。
原作は江戸川乱歩。
三島由紀夫によって戯曲化され、宝塚では2007年に花組でも上演された作品である。
2026年版では桜木みなとが明智小五郎、春乃さくらが黒蜥蜴を演じる。
この配役が、とても桜木みなとトップ時代らしい。
明智小五郎は、ただ格好いい探偵ではない。
知性。
余裕。
色気。
そして黒蜥蜴との心理戦。
派手な剣を振り回すヒーローとは違い、「大人の男役」としての魅力が必要な役だ。
桜木みなとには、それがある。
そして何より重要なのが春乃さくらとの関係だ。
『黒蜥蜴』は、明智一人だけを見せる作品ではない。
明智と黒蜥蜴。
この二人の緊張感が作品の中心にある。
追う者と追われる者。
正義と犯罪。
しかし同時に、互いを最も理解してしまう男女でもある。
トップコンビの芝居力がなければ成立しにくい。
ここに桜木・春乃コンビを置いたことが面白い。
二人とも一方的に相手を押すタイプではない。
芝居を受け、返し、その間に生まれる感情を見せられる。
さらに水美舞斗が雨宮潤一、鷹翔千空が真木警部補、風色日向や亜音有星が明智の部下として配置されている。
つまりトップコンビだけでなく、現在の宙組のスターたちを作品世界の中に組み込む構造になっている。
桜木みなとの魅力を全面に押し出す。
それと同時に、周囲も生かす。
これは現在の宙組そのものではないだろうか。
何年か後に桜木みなと時代を振り返ったとき、『黒蜥蜴』がそのトップ像をよく表した作品として語られる可能性は十分にあると思う。
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