雪組といえば「日本物」。
宝塚ファンの間では昔から語られてきた組カラーだ。
しかし最近宝塚を見始めたファンにとっては、
「なぜ雪組だけ日本物なの?」
と思うかもしれない。
もちろん雪組だけが日本物を上演するわけではない。
だが歴代の作品やスターを振り返ると、確かに雪組には和物を美しく見せる文化が積み重なっている。
日本物で重要なのは、単に着物が似合うことではない。
立ち方。
歩き方。
手の位置。
視線。
扇の扱い。
ほんの少し動いただけで、その人物の身分や性格まで伝わる。
洋物とは別の身体表現が必要になる。
こうした技術は、一朝一夕では身につかない。
そして宝塚の組文化の面白いところは、それが先輩から後輩へ伝わっていくことである。
直接教わることもあるだろう。
舞台袖から見て覚えることもある。
そうやって「雪組の日本物」が続いていく。
ただし現在の雪組は、日本物だけの組ではない。
朝美絢は『ポーの一族』のようなゴシック作品が似合う。
年末にはフランス発のロックミュージカル『Monte-Cristo』に挑む予定だ。
つまり雪組の強みは、
「日本物ができる」
ことではなく、
「日本物という高度な型を持ちながら、別の世界にも行ける」
ことなのかもしれない。
伝統とは、同じ作品を繰り返すことではない。
技術を残したまま、新しいものに挑戦することだ。
現在の雪組を見ると、「日本物の雪組」という看板は消えたのではなく、むしろ組の基礎体力として生き続けているように思う。
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