2026年9月、月組は東急シアターオーブで『NINE』を上演する。
鳳月杏が演じるのはグイード・コンティーニ。
天紫珠李が妻ルイーザ。
さらに礼華はるがクラウディアを演じる。
この配役を見たとき、「いかにも鳳月杏のための作品だ」と感じた人も多いのではないだろうか。
グイードは、単純なヒーローではない。
才能のある映画監督。
しかし創作に行き詰まり、女性関係も複雑で、自分自身の人生すら整理できていない。
格好いいだけでは成立しない人物だ。
むしろ弱さやずるさ、未熟さまで見せなければ面白くならない。
そこで鳳月杏である。
鳳月の強みは、「完璧ではない男性」を魅力的に見せられることだと思う。
どこか情けない。
迷う。
傷つく。
失敗する。
それでも観客がその人物を嫌いにならない。
この能力は、『NINE』のグイードには非常に重要ではないだろうか。
さらに周囲を女性たちが囲むという作品構造も面白い。
宝塚では通常、男役スターを中心に娘役が配置される。
しかし『NINE』の場合、その構図そのものが物語になっている。
しかも鳳月杏のトップスター人生も終盤に入っている。
このタイミングで、「創作とは何か」「人生とは何か」「自分は何者なのか」というテーマを持つ作品に挑む。
偶然とはいえ、どこか重なる部分がある。
派手な冒険活劇ではない。
大人数の豪華絢爛なショーでもない。
一人の男性の内面を掘り下げるミュージカル。
それをトップスター公演として成立させられること自体が、今の鳳月杏の強さなのだと思う。
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